愛か死か
〜Trick Or Treat 続編〜
それはハロウィンパーティが始まる1時間前の事だった。
―鴨川ジム―
「あいつらがいないと静かなもんだな、これくらい静寂があって黙々とトレーニングしてくれりゃぁ問題ないと言うのにッ」
溜息をつき、トレーニングの様子を眺める老人、鴨川会長が、矢木に向かって小言を言う。
「そうですか?僕は少し寂しいような気がしますけどねッちゃんも来てないし」
「ふんッ何を言っておる、はここに来ない方が安全でまったく良いくらいじゃ!!」
鼻息をフンッといわせ、険しい顔をもっと険しくさせた。
「会長、心配ないですよ、鷹村くんは・・・」
「の話をしとる時に、鷹村の名前は出すなぁ!!!」
急に激怒し始め、持って自分の身を支えていた杖で地面をブッ叩く。
その光景があまりに恐ろし過ぎて、思わず飛び跳ねる矢木。
「会長!落ち着いて下さいよぉ!!」
「ふん!!」
胸糞悪くてそっぽを向く。
「そんなに怒らなくても・・・そんなに嫌なんですか?」
「嫌に決まってるじゃろうが!!孫の心配をせん奴がどこにおる!!」
「そりゃぁ・・・そうですけど」
ハンカチで汗をひと拭き。
「あいつがいつ破廉恥な事をしでかすか解ったもんじゃない!!にもしもの事があったら・・・・・・鷹村を殺すかもしれん」
かなりの威圧と殺気で押し潰されそうになる矢木。
話を変えようと違う話を振る。
「あ、あはは!そ、そういえば、今日はなんの日かご存知ですか?会長ッ」
「わざとらしい切り替え方じゃなぁ、なんと言って欲しいんじゃッ」
バレてたッ
「いや、そういうわけでは!!」
「”ハローウィン”じゃろ、知っとるわぃ」
「な、なぁんだ!知ってたんですかぁ!あはははっ」
「馬鹿にしとるのか、やぎちゃんはッ」
蛇のひと睨み。
「いえ・・・その、そういうつもりでもないですよッ」
「ふん、まぁええ。それで?ハローウィンがどうしたんじゃ?」
「いや、ハローウィンと言えばパーティじゃないですか!パーティ、ちゃん家でやるんですって?聞いてますよぉ!鷹村くんから!!」
「・・・・・・・・・・は?」
「へ?いや・・・その・・・・・・・・・・・・ご存知なんじゃ?」
暫くの間がとても気になったが、その答えもすぐに出そうだ。
「の家で・・・・・・・・・・鷹村が・・・・・ぱーてい?」
もはや”DVD”を”デーブイデー”と言う老人のような状況になっている会長を見て、「やってしまった!」と手で顔を覆う。
「会長、あの、そのですね!これはあ」
「あの男ぉ!!!一度死ななきゃ解らんようじゃなぁ!!!」
真っ赤になった顔で突然走り出し、スクーターに乗り込む会長。
「会長!何処へ行くんですかぁ!!」
「・・・・・・・・・・ん家ッ」
わぁ、顔が険しいですよぉ★
そして矢木は止める事が出来ず、スクーターは走り去って行った。
「・・・は!!こうしてはいられない!!追いかけなきゃぁ!!じゃなきゃぁ・・・」
みんな死ぬぅ
―宅―
「小物どもぉ!!ハロウィンパーティ始めるぞぉ!!!」
鷹村の一声で片手に持たれている紙コップを天井に向かって突き上げる一同。
「つか小物は余計だぁ!!」
「なんだとぉ!青木!!!小物の分際で喚くなぁ!!!!!」
鷹村のコブラツイスト炸裂ッ
ボクサーなのにプロレス技ッ
「青木!ギブッ?ギブッ!!!?」
「ぐぉぉぉぉおおおぉぉお!!」
「どっかで見た事ある光景だなぁ」
呑気にジュースを飲みながらその光景を目の当たりにする一歩。
一歩の仮装しているのは吸血鬼だ。
歯は尖っていて、マントを羽織っている。
「そうですねぇ、皆はしゃいで、怪我しなければ良いですけどね」
人事のように言う久美、
いや、実際出てるよ、怪我人ッ
久美は悪魔の仮装をしているようだ。頭には悪魔の角のかちゅうしゃをしていて、悪魔の尻尾までつけている。
まったくもって愛らしい姿に、一歩は見惚れる。
「そ、そうですねぇ」
「もぉ!先輩ったらぁ、久美さんに見惚れてたでしょぉ!ボーっとしちゃって!!一言何か言ってあげたらどうですか!」
横から口を出しているのはミイラ姿の板垣だ。
片目を覗かせ、顔にグルグルと巻いてあり、上着にジャケットを着こんでいる。
まとまりの悪い髪の毛が少しはみでているのは気にしないッ
「え!そ、そんな、いきなり言われても・・・ッ」
顔を赤面させながら下を向いてしまう一歩。
「もぉ!先輩!!」
「おぉ!!なんかすんのか一歩ぉ!!!」
「俺達も混ぜろよぉ、大人な相談なら俺が聞くぜっ?」
鷹村にボロボロにされたフランケン姿の青木と、コウモリ姿の木村。
邪魔な先輩が割り込んできた。
「お前らなんか仲間に入れるかよ!」
「てめぇに聞いてねぇ!」
「ジャーマンスープレックスぅ!!!」
「ゴパァッ!!!」
鷹村に一発喰らわされる青木ッ
なんとも惨めな姿だ。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・?どうしたんですか?久美さん」
キョロキョロする不自然な久美を見て尋ねる一歩。
「・・・さんがいないんですよ。」
「あ、そういえばッ」
「まだ恥ずかしがって出てこないのかしら・・・似合ってたのに」
どうやら、がいない原因は、着た仮装服があまりにも恥ずかしくて部屋から出てこない、
という事のようだ。
「仕方ねぇ、俺様が行くっかねぇか」
「なんであんただよ、普通久美ちゃんが行くところだろ、そこッ」
「うるせぇッ」
鷹村の軽いストレートが青木のあばら骨に炸裂ッ
「ゴエッ!!!」
無言のまま歩きだす鷹村を見て、
「何処に行くんですか?鷹村さん」
と、一歩が思わず質問。
「だから、のいる部屋ッ引きずり出してくるんだよ」
当然かの如く颯爽と部屋に向かう鷹村、
その時止めていれば、あんな惨劇には至らなかっただろうに・・・・・。
更衣室と化した自分の寝室のベットの上で体育座りをして、ボーッと窓の外を見る。
一人で何かにふけっているようだった。
「・・・・・・・・・・PAP,MOM・・・」
瞳が月に照らされ、輝きを放っていた。
自分でも気付かない間に目に溜まっていたものを、鼻をすすりながらグシグシとベットのシーツで拭き取ると、
そこだけかなり濡れていた。
「・・・・・・・・・・・何やってるんだろう・・・・・・・・・私」
ハァッと溜息をつき、下を向いた。
「おい、ッ」
低い声が、部屋の外から聞こえる。
ドア越しに自分の名前を呼ぶ者が居た。
「・・・・・・・・・・鷹村さん?」
聞き覚えのある声に対し、名前で呼びかける。
「寝ぼけてんのか?ほら、何してんだ、主役その2がいなくてどうするよ!」
「そ、その2なんですか?」
「そうだ!俺様がメインなんだからな!!二番目の主役がなんだからさっさと出てきて衣装見せろ!!!」
野獣が外に居るッ
どんな顔をして話しているのか、大体予想はつくものだ。
「た、単刀直入ですねッ」
「回りくどいことしてどーすんだよ、面倒臭ェ!」
フンッ、と鼻息を鳴らし、腕組みをしながらドアを見つめる。
「それより!!てめぇこの期に及んで恥ずかしがってんじゃねぇよ!!小物共はもう乾杯しちまったぞ!!」
「いや・・・恥ずかしいっていうか・・・なんていうか・・・・・・・・・・」
「・・・なんだよッ」
「恥ずかしくはないんですよ?」
「じゃぁなんだってんだよッ」
「・・・・・・・いや、恥ずかしくは・・・」
「恥ずかしいんだろ?」
「・・・・はいッ」
下を向いて落胆する。
その様子が手に取るように解ってしまうのが悲しい。
「今更だなぁ・・・」
頭をガシガシ掻いて片目を瞑る鷹村。
一つ、提案が浮かんだ。
「じゃぁよう、俺様が最初に見て俺様で慣れるとかどうよッ」
「えぇ!!・・・・・・・・・・出来れば一番見られたくない人なんだけどなぁ・・・」
ボソッと、聴こえない程度の声で言ったつもりが、
「あん?なんか言ったか?見られたくないとか!」
「いえ、何もッ」
彼は極度の地獄耳だッ
「まぁ、決定な、入るぞッ」
「え!!ちょっと!!待って!!!!!」
咄嗟にドアまで駆け込み、ドアのぶをガッシリ掴む。
向こう側からの抵抗で、ドアが開かない。
「おい!開けろよ!!」
「いや、まだ、心の準備とか!そういうのが私的に必要だなぁ!と思って!!!」
「んなの必要ねぇよ!!可愛がってやんから覚悟しろ!!!」
「それ違いますよねぇ!!?どう考えたって!!!!」
「うるせぇ!!つべこべ四の五の言わずにここ開けろぉ!!!」
野獣を部屋に入れまいと、頑張って踏ん張る姫。
『美女を奇襲』
「あんま踏ん張っても俺様のが凶暴になるだけだぞ!!」
「アホ〜〜〜!!!やめて下さいって言ってるのにぃ!!もう!解りましたから!!何もしないって約束して下さいッ!!」
「出来ないな、約束ッ」
「即答でそれですか!!」
あまりの即答の早さに下唇を噛みながら苦悩する。
「約束できないならここ開けません!!!」
ガチャッと鍵のかかる音を聞くなり、
「あ!てめ、卑怯だぞ!!正々堂々とやられろ!!」
「それどうかと思いますよ!?」
ドアを激しく叩きまくる鷹村の行動にビビリまくる。
ただ只管に「怖い」と思うしかないだろう。
「開けろぉ〜〜〜〜〜!!」
「怖いですって!!!」
「むーん、これでも開けないなら、こっちにも考えがあるんぞ!!」
予想外の展開。
「な、なんですか?考えって!」
「・・・・・俺様はお前の秘密、知ってるんだぞッ」
意味有り気に重々しく声にする鷹村の発言にビクッとする。
「ひ、秘密?なんの事ですか?」
「お前、度々家に電話かかってくんだろ?」
「そ、そりゃぁかかってきますよッ」
「かかってくる相手が同じ奴で、そいつは男でかなり甘えてるだろぉ!!!」
ギクッ!!とするの表情が見えるかのように、ニタァっと含み笑いする鷹村。
さらに攻撃は続く。
「しかも、時々、『えぇ〜〜〜、先生じゃなきゃ、嫌ッ☆』とか、俺様にも聞かせた事ない声で話してんだろぅ!!」
「ぎゃ〜〜〜!!!そ、そんな事!!!」
「電話越しで、よう【バキューンッ】してんじゃねぇ!!!」
「放送用語ひっかかりますよこれ!!!」
「まだあるぞ!!」
「まだあるんですか!!?」
底抜けに自分の事を知られているようで、なんだか不安になってきた。
「そいつと今度ホテル行く約束しただろ!!」
「してませんよ!!!!!」
「いや!俺様は知ってるんだぞ!!場所言ってやろうか!!○×町の『伊庭夜』だ!!」
「自分のいきつけの店でしょうが!!!!!」
堂々と自分の行きつけの店の名前を出す鷹村に呆れた。
「あれ?違ったか??確か・・・バイヤだったような・・・?」
「それ、”YAIBA”です、・・・・・・・・・・あっ」
五秒程の沈黙。
「やっぱりそうじゃねぇかぁ!!!!!この浮気者ぉ!!!!!!」
「いや!そうじゃなくて!!あの!!!・・・あぁもう!!こっちにも訳があるんですよぉ!!」
「言い逃れしてんじゃねぇ!!」
「というか、いくら鷹村さんが地獄耳でも、家のドア越しから電話機の置いてある部屋まで遠いんだから、
話声なんて聞こえるはずないんですけど、どうなってるんですか!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「なんでいきなり黙るんですか!!」
「そんなこと、どうでもいいだろッ」
「よかない!!!」
蛸口になっていきなり威勢をなくす鷹村の様子を見て、ピーンッときた。
「まさか・・・鷹村さん、盗聴してるんじゃ!!」
「そ、そんなわけあるかぁ!!そんなじゃ・・・ねぇよッうん。・・・うん。」
「解り易ッ!!!」
ハァと深い溜息をつき、額に手をあてる。
「・・・解りましたよ、部屋、入ってきて良いですから」
「お!やっと観念したか!」
「ただし!!」
念を押して言った。
「何もしないで下さいね?じゃないと大声出しますからッ」
「へーぃへーぃ」
適当にあしらっている時点で怪しいものだが、いいとして鷹村を中に入れた。
「・・・おい、何やってんだよッ」
の様子を見ての第一声。
「・・・・・・・・・・仮装ですッおばけの●ちゃんッ」
白いシーツを頭から全身に被り、顔だけ出している。
ベットの上に転がっている。
「んな可愛いことやってたら襲うぞ、今ッ!!」
「目潰ししますよッ」
右手をシーツから覗かせ、ニョキッと人差し指を中指を折ったり直したりする。
「こんなじゃ意味ねぇじゃねぇかよ、ほら!シーツとれ!!」
強引にが被っているシーツを引っぺがそうと、ベットに上がる。
シーツを今にも破らん勢いでガッシリ掴む。
「ちょっ!!やめっ、変態ぃ〜〜〜〜〜!!!」
の蹴り炸裂。
運悪く【チーンッ】に直撃。
「てめ!!!反則だろぉ!!うぅ・・・・・・・・・!」
流石の鷹村も、男の急所をやられれば悶絶ものらしい。
「す、すみません、つい状態反射で・・・大丈夫ですか??」
安否の言葉に対して何もない。
ずっと蹲って下を押さえているだけだ。
「・・・・・鷹村さん?・・・本当に、大丈夫ですか??その・・・ごめんなさい、いくら正当防衛でも、やりすぎでした、その・・・」
「なぁんて嘘だぴょ〜ん!!」
その瞬間グワッ!っとに覆いかぶさってきて鷹村に驚き、キャッと悲鳴をあげ、押し倒された。
「あまいなぁ!!俺様のがの蹴りごときで潰れるかぁ!!!」
「最悪だこの人ぉ〜〜〜!!!」
「おら!見せろっての!!!」
とうとうシーツがとれ、黒い衣装が姿を現すが・・・、
「・・・・・・・・・・お前、そんな・・・・・どうするつもりだ?(俺様を)」
「ど・・・どうしようともしてません!」
確かに黒い衣装で黒猫の衣装なのだが、露出度が非常に高い・・・。
「だって!富子さんが、『使ってたやつで是非着て!!』って言ってたから・・・どんなのか確認せず借りてしまって・・・」
「おい、待て、富子はいつこんな衣装使ってたんだッ」
あまり知りたくない事実なのだが、どうしても聞いてしまうのはお約束。
「・・・・・・・・・・そのよぉ・・・なんだ・・・・・っ、もっとなんか着ろよッ」
「それを探してたんです!それなのに久美ちゃんたら、『それで似合うから良いじゃないですか!』って・・・」
「いや、似合うのは良いんだけどよぅ・・・・・・・・・・・・・・・そういうエッチィのはここで着るもんじゃねぇだろ・・・つか富子に似合わねぇだろ」
「はぁ・・・・・・すみません」
あの鷹村まで言うくらい危ない衣装って・・・・・・ッ
「せめて・・・ズボンくらい履けよ、んな大っぴらにパンツとかよぅ」
「短パンですッ」
「短すぎるっつってんだぁ!!おら!!」
手に掴んだ黒いジーパンをに投げつけ、仁王立ちして腕組みをし、ドアの方を向く。
「・・・・・ごめんなさい」
「ったく!そういうのは俺様が襲った時に着ろってんだよッ」
「は?何か言いました??」
「別に?」
極めてボソッと。
「・・・・・・・・・・まだかっ」
「ま、まだですッ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだかっ?」
「も、もうちょっと!!」
背後でがケンケンしながらズボンを履く様子が、背後の物音でよく解る。
「なにもたついてんだよ!!」
「だって、ベットの上じゃぁ履きにくいっ・・・うわ!!」
前のめりに倒れ、鷹村の背中に倒れ込む。
二人揃って轢かれたかえるのように倒れている。
「てめぇ!!!本当にどうしたいんだぁ!!(俺様を)」
「ち、違いますってぇ!!!」
お互いの顔を向ける体勢になり、が鷹村に覆いかぶさる形になってしまった。
「・・・・・・・・・・・そういう趣味あったのか?ッ」
「マウントポジションとらないと危ないですよ?鷹村さん」
拳を上に上げながら殺気立つ。
「解ったからよぅ、その・・・中途半端に履ききれてないズボンどうにかしろよ、、今日苺のパンツかッ」
自分の下半身を見てみると、まだ上がりきっていないパンツが膝まできていて、自分の履いているパンツが見えていた。
顔が赤くなり咄嗟にズボンを上げようとしていた所へ・・・・・――――――
ドタドタドタドタドタドタドタ・・・・・・・・・・ドカカッ!!!
妙に部屋の外が騒がしい。
よく耳を凝らして聞くと・・・、
「何処じゃぁ〜〜〜!!!ぉ!!!!!」
「!!!お、おじいちゃん!!!?」
「ゲッ!!じじぃ!!?なんでここに!?」
その瞬間ドアが開けられ、そこに居たのは鬼の化身と化した鴨川会長が、頭から湯気をてたながらこちらを見ている。
「鷹村ぁぁあぁあぁぁぁあ、貴様ぁぁあぁあぁぁぁ!にちょっかい出しおってぇ!!!ぶっっっっ殺す!!!!!!」
彼の口から吐き出されているものは吐息などではない、あれは・・・殺気。
「あぁ!待て待てじじぃ!!!これには色々とあって!俺様が襲おうとしたんじゃぁ!」
「黙れぇ!!じゃぁなんじゃその格好はぁあぁぁぁあ!!ズボンまで脱がせおってからにぃぃい!!もう許さん!!!!!!」
「お、お前ちゃんと履けよ!!」
「だってそんな直ぐには」
「鷹村ぁあぁぁああぁぁぁあぁぁ!覚悟ぉおぉおおおおぉぉおぉぉぉおおお!!!!!!」
棒を振り回しながら鬼の形相で追いかけてくる鴨川会長を見て、逃げ出す鷹村。
まさに、鬼ごっこだ。
「あらぁ、やられちゃってますね、鷹村さん」
その様子を見ていた板垣がポロリと他人事のように言った。
「板垣君!どうしたの?これ」
「それが・・・・・・」
「会長が押しかけてきたんですよ!『を出せぇえ!は何処だぁ!!鷹村殺す!!!』って、凄い形相で言ってたもので・・・」
板垣が言いずらそうにしていたところに、一歩が解説をし始めた。
「そんで、あんまりにも怖かったもんで、鷹村に囮になってもらったってわけよ!」
鷹村に殴られたあとより他に真新しいたんこぶや青たんが出来ている青木と木村の姿が二人の後ろにあった。
「げぇ!青木さん、木村さん・・・どうしたんですか?その傷ぅ!」
「会長に棒で殴られたんだよ!!」
「『そこかぁ!!!』とかワケ解らない事言って、俺がトイレに入ってる最中にぃ!!殴られた瞬間、俺は富子の事を走馬灯のように思い返してた」
「そ・・・そうですか」
なんだか複雑になってきた、四つん這いになっている体勢からスクッと立ち上がり、鬼ごっこをしている鷹村と会長の方を向く。
「止まっておじいちゃん!!ご近所迷惑でしょ!!あんまり暴れるとまたアメリカ行っちゃうからね!!!」
ピクッ
の一言で鬼の化身がピタッと止まった。
「、無事なのか?」
「無事とかそういう問題じゃないよぉ、どうしたの?おじいちゃん」
「どうしたもこうしたも!!の身の危険を感じてきたんじゃ!何が悪い!!!」
自分の行動、全肯定ッ
「私は大丈夫だよ、こんな・・・」
「今日だからじゃ!!!」
「・・・・・・・・・・ッ!!」
頭を掻いていたがピタッと止まった。
「・・・・・だ、大丈夫だよぉおじいちゃん!!鷹村さんには何もされなかったから!」
「そうじゃな・・・」
「ほら!!帰ろう!!迷惑かけてごめんなさい、おじいちゃん送っていくんで、皆も帰った方が良いかも、怪我してる人が約三名いるし」
ボロボロな青木村と鷹村。
「そ、そうですね、それじゃぁ、今日はこれにてお開きっていう事で!」
パンッ!と手を叩いて皆を撤収させる板垣。
なにやら気を配らせてしまったようだ。
「・・・・・おじいちゃん、ごめんね?有難う・・・帰ろう?」
「今日は、ロー先生は来なかったのか?」
「うん・・・今日はお断りした、皆でパーティするって言ったら、『楽しんでおいで』って・・・・・」
「そうか・・・」
寝室が沈黙に包まれた。
「それにしても、本当に鷹村とは何もなかったのか!?あのアホ、絶対何かやらかすに決まっておる!」
「別に!大丈夫だよ!ちょっと危なかっただけ!・・・・・・・・・・・・・・・あっ」
ついつい真実を告発してしまった。
自分の発言に公開し、会長の顔を見てみる。
「あ い つ・・・・・・・・・・明 日 は 覚 え て お れ っ」
殺気充満中。
その日の夜の満月は、満面の笑みを星に乗せて人々に振り撒いていた。
あの日の事思い出すと、どうしても怖くて、その日の朝の目覚めは最悪だよ?
前の日の夜だって眠る事も出来ないし、眠っても、あの日の事を夢見るだけ・・・・・・・・・・
だから嫌いなんだ・・・ハローウィン、
パパ、 ママ、
帰ってきては、くれませんか??
私は何歳になっても、どんなに時を重ねても、
あの日の事は忘れられません。
また、二人が私に笑顔を見せてくれるんじゃないかって、いつも思っています。
そう、
あの時の・・・死に顔みたいに・・・・・―――――――――――
@あとがき@
最期シリアスになっちったねッ
まぁ、とにかくこれで時期はずれなハロウィン編終了。
まぁ・・・予定通り鷹村さんはエロ理不尽大王炸裂でしたがッ:笑
もっと頑張ります。
設定画