究極の夏休みッ
〜鷹殺し〜
「おい!!合宿ついて来い!!!」
ジムに遊びに行った時にいきなり言われました。
「えぇ!!!?い、いつですか?」
「今だぁ!!!!!」
何!?この勢い!!!?だ、大丈夫なんだろうか、この人。
「そ、そんな!いきなり言われても、お泊りセットとか、洋服とか持って来てないですもん!!」
「大丈夫だ!!!」
何がどう!!?その大丈夫という保障は何処から!?
「あの、でも・・・今からちょっと先生の病院に・・・・・・・・・・」
「あんなヤブ医者ん所なんか行くより、俺様と山行った方が良いに決まってるだろがぁ!!!」
うわぁ、病人の意思無視ぃ〜〜〜ッ
「鷹村さん、いい加減にしないと!!」
「おし!!俺様と一緒の席に乗れ!!じじぃは一番後ろに乗せる事とする!!!」
その瞬間、の体が持ち上げられ、助手席と後ろ二席ある座席の内、真中の座席に強引に乗せる。
車の後ろで荷物を載せていたいつものメンバーが、また鷹村さんが暴れていると薄目で眺めていた。
「強引ですよねぇ、鷹村さんッ」
呆れたように板垣が一歩に話かける。
「そうだねぇ、鷹村さんらしいって言うか、なんて言うか・・・」
自分の荷物を乗せながら言う一歩。
「こりゃ会長かなり怒るぞぉ、前のハロウィンの時より凄いかもしれねぇな」
ニヤニヤと笑いながら、恐らく鷹村が棒で殴られているところを想像しているであろう木村が語る。
「良いんだよ!!それくらいはなきゃぁ解らねぇんだからよぅ!!俺だって富子連れて来たかったよ!」
畜生といわんばかりの青木の顔。
いや、つれてこられても困るんだけどッ
「どうするんでしょうね、会長。」
「そうだねぇ・・・きっと伝説的なストレートとか、飛んだりして」
アハハと、爽やかに笑う板垣と一歩の後ろに・・・
「何が伝説なんじゃ?」
そこには、キョトンとした顔でジムから姿を現した鴨川会長がいた。
「か、かかかか会長!!!」
「いつの間にいたんですか!?」
「なんじゃ、いたら悪いのか!!」
棒を振り上げる姿がとても恐ろしい。
「なんでもありません!」と頭を左右に大きく振る。
「お!良いところに会長!!」
手揉みをしながら会長に寄って来る青木村。
「なんじゃ、さっきから騒々しいと思って外の様子を見に来てみれば、お前らか!」
「ち、違うんですよぉ、会長ぉッ!」
頭上に上げられた杖をガードするかの如く頭の上に手を構える木村。
「騒がしてるのは鷹村さんですってぇ!!!」
そう言いながら、鷹村とが乗っている車の方角を指差した。
「何?鷹村??」
何故かかなり敏感な反応を示す会長の様子を見て、背中をもう一押しする青木村。
「そういえばさっきちゃんが遊びに来ていたところを取り押さえしてたなぁッ」
「あぁ、そうだったなぁ、いやぁビックリしましたよぉ、勢い良く、グワッ!っとちゃん抱えて車に乗り込ませてたからぁ」
二人の悪魔の囁きを素直に信じる会長の頭から、煙がプスプス出ている。
その上、顔は真っ赤に染め上げられ、怒りの表情が表わになっていた。
作戦完了ッ
「な、何ぃ〜〜〜〜〜〜!!!?鷹村めぇ!!またにちょっかい出しおってからにぃ!!」
服の袖をグワッ!と上げて杖をブイブイいわせながら振り回す会長の姿があまりに恐ろしくて、
誰も近寄れなくなっていた。
「お、おい青木、これ・・・言いすぎたか?俺達ッ」
「いや・・・・・なんつーかよぉ、死ぬぞ、鷹村ッ」
こんな展開を期待していたはずなのに、なんだか激しいことになってしまったこの状況をどうすべきなのか、
会長をけしかけた二人が悩んでいた。
「あ〜あ、責任とって下さいねぇ、青木村さんッ」
「「だからひとまとめにして呼ぶなっつってんだろぉがぁ!!!」」
頭の後ろに腕組しながら蛸口で横槍を入れる板垣。
そうこう言っているうちに、車の開いているドア縁を掴み、中に向かって叫ぶ会長。
「鷹村ぁ!!!貴様ぁ!!またにちょっかい出しおったなぁ!!今日という今日は許さん!!」
中を見ると、頭にたんこぶ、顔にビンタのあとがついた鷹村が倒れこんでいる様子が伺えた。
その光景を見た瞬間、ポカンッとした顔になる会長。
「あ、おじいちゃん、どうしたの?」
「あ・・・いや、なんでもッ」
「なんだよ、1ラウンドで終わったのか?鷹村さん」
「ちゃん・・・怖ぇ〜〜〜ッ」
彼女の恐ろしさが一層増した日でした。
夏。
今年の夏は猛暑だと聞く。しかも今迄の年の中でも飛びぬけ暑いのだそうだ。
は今夏休みに入っている状態で、長期の休みを満喫しているところなのだそうだ。
宿題も早くに終え、息抜きにジムに遊びに行ったところを鷹村に捕まったのだそうな。
車で数時間、山にある猫田のペンションに到着。
鷹村が目を覚ました時には、既に皆の荷物を降ろし終わった後だった。
「あ、鷹村さん、起きたんですか?」
目をパッチリ開けて見た先には、が前のめりになって座席で横になっている鷹村の顔を覗き込む姿があった。
なんとも良いアングルで谷間が見える。
「何ボーっとしてるんですか?ホラ、もう皆準備してますよ!世界チャンピオンが寝っ転がっててどうするんですか?」
鷹村の肩を掴み、強引に起き上がらせようとする。
谷間が超見える。
「お、おい!無理矢理起き上がらせようとすんなよ!あ、頭痛いんだよ!!」
頭の上に出来ているたんこぶを撫でながら言う鷹村。
「あ、すみません、思いっ切り殴った覚えはなかったんですが、あははッ」
「『あははッ』じゃねぇ!!・・・あぁ!痛ぇ!!」
どさくさに紛れてタンクトップから覗き込む谷間に顔をのせる。
突然すぎた鷹村の行動に驚き、鷹村の頭を思いっ切り掴み、顔を上げさせ、さっきとは反対側にビンタをかます。
「何が『あぁ!痛ぇ!!』ですか!!全然大丈夫じゃないですか!もう知りませんからね!!」
プンスカと怒ってペンションの方へ歩いて行ってしまった。
その背中を見ることしか出来なかった。
「なんだよ!お前がそんな谷間見せてるからだろぅがぁ!!!」
「何やっとんじゃ!!!」
そこへいきなりニュッと会長がドアから顔を覗かせる。
「ぅわぁあぁ!!!じ、じじぃじゃねぇか!!いきなり出てくんな!ビックリすんだろ!!!」
「ふんっ!知ったことじゃないわぃ!!それより貴様ぁ!1人でサボっておるんじゃない!!!貴様も走ってこんかぁい!!!」
会長に渇を入れられ、しぶしぶロードワークへ出る鷹村。
すっかり夜が更けて夕食の時間になってしまった。
今晩は、猫田特性の山鍋スペシャルだそうだッ
「さぁ!じゃんじゃん食べるダニィ!」
「「「「「いただ「が」きまぁす!!」」」」」
楽しそうに食卓を囲む一同、役2名を除いてッ
「どうしたダニか鷹村、お前の嫌いな食べ物でも何かあったのか?」
「別にねぇよ!!」
「な、何怒ってるダニかぁ」
明らかに鷹村の様子がおかしいのは、周りの人間は解っていた。
「なぁ・・・やっぱりおかしいよなぁ、鷹村さん」
小声で青木に話しを振る木村。
「だなぁ、もしかして、朝ちゃんに喰らったパンチがまだ痛いとかッ」
「違うだろぉ、会長にこってりしごかれたからだろ、きっと」
「青木、それお前だろッ篠田さんにしごかれたから」
「ちげぇよ!!」
二人のやり取りを見て、篠田が咳払いをする。
「どうした?二人共、ちゃんと食べてるか?箸がすすんでないぞ」
「あ、いやぁ・・・へへへ、食べてますって、なぁ?木村ッ」
「お、おう!食べてますよぉ?あはは」
しょうがなく黙々と食べ始める二人。
「あれ?さん、食べないんですか?」
板垣が、が箸を持っていないことに気付き、口に箸を咥えながら尋ねる。
「え?あ、あぁ、食べるよ?食べてるよぉッ」
「だって、箸持ってないんだもん、お腹、痛いんですか?」
「ううん、大丈夫だよ、ありがとう。もう私お腹いっぱいだから、ごちそうさま」
席を立ち、先に寝室に戻っていく。
「どう見たって、なんにも手ぇ付けてないんだけどなぁ」
の取り皿を見てみると、食べ物が置かれた形跡がまったくない。
「ダイエットでもしてるんですかねぇ、先輩ッ」
「え?そ、そうには見えなかったけど、どうしたんだろう」
板垣の問いに答える一歩だが、どうも心配でならない。
「気にするな、そういう年頃なんじゃ、きっと」
二人の会話を聞いていた会長が鍋をつつきながら言う。
「年頃って、まるでおじいちゃんみたいな事言いますね、会長ッ」
不意に言ってはいけない事を板垣は言ってしまった。
「板垣、貴様、わしをおちょくっとんのかぁあぁ!!」
テーブルにドンッと拳を当て、バッと立ち上がる会長。
「あ、いや、そういうわけじゃぁ!!た、ただ、やっぱり心配だなぁと!!
ホラ!年頃の女の子って、無理なダイエットすると、悪いって言うじゃないですかぁ!!」
「ぬ・・・そ、それもそうじゃな・・・・・」
熱が冷めたのか、静かに座り、また箸を持つ。
流石、話術だけは誰よりも長けた男だッ
「ふぅ、間一髪ッ」
冷や汗を拭う板垣。
「ごちそーさんッ」
ぶっきらぼうに自分の取り皿と箸を置く鷹村、立ち上がって寝室へ行こうとする。
「おい、鷹村!風呂はどうするダニ!!」
「今入るんだよ!!!」
「なぁんだ鷹村の奴ぅ、本当に何怒ってるダニかぁ?わしにはさっぱりダニ!!」
こちら、男子チームの寝室。
「なんだよの野郎、ちょっとふざけて谷間に顔乗せただけじゃねぇかよッ」
いけません。
「そんな怒ることねぇだろぉ〜・・・・・・・・・・あぁ!!調子狂うなぁ!!!風呂だ!!風呂入るぞ!!!!!」
自分の着替えを持って、浴場へ向かった。
浴場は結構広い。しかし、浴場自体一つしかなくて、混浴になることが多い。
もし女性が男性を入れたくない時には、「男性は後からお入り下さい。」という札をドアのぶに掛ける。
今、ドアのぶにその札が掛かっていた。
『男性は後からお入り下さい。』
「あん?なんだこりゃッま、良いかッ」
構わず入って行く鷹村。
ドアを閉め、念のため何故か鍵をかけておき、着用している服を脱いでいき、篭に放り入れる。
「さてぇ、せまっちぃ風呂にさっさと入ってさっさと寝るかぁッ」
と、勢い良くドアを開ける、と、
「・・・・・・・・・・へ?」
体を洗っているが目の前に居た。
「え???お前、寝室に行ったんじゃぁ・・・・・・・・・・痛ぇ!!!」
速攻で風呂桶を投げる。
傍にあったバスタオルで体を隠す。
「なんで鷹村さんが入ってくるんですかぁ!!ちゃんと札見て下さいよぉ!!!」
「は!?札ぁ!!?何のことだぁ!!俺様ぁ知らねぇぞぉ!!」
「そとのドアのぶに掛かってたでしょうがぁ!!!」
「・・・・・・・・・・あん?」
あぁ、確かにあったなぁ。
それです。
「札読めば入ってこないと思ったら、こんなに非常識だとは思いませんでした!!!さっさと出てって下さい!!」
「な!違ぇよ!!俺様ぁ・・・」
「出てけっつってんだろがぁ!!!!」
渾身の一撃。
風呂桶が顔に直撃ッ
「・・・・・・・・・・てめぇ、もう許さねぇぞぉ!!!!!」
何個も投げられてくる桶を払い除けながら、のいる風呂場の湯まで辿り着く。
鷹村の手が、の鎖骨あたりを押さえて後ろへ押し倒す。の背には、平ったい岩があっり、そこへ押し倒された。
危うくタオルが肌蹴るところだった。
「てめぇ!今日は今日でちょっと谷間に顔突っ込んだからってムスッたれやがってぇ!あんなのほんのジョークだろうがぁ!!」
「あんなのアメリカンジョークにもダジャレにもありません!!!」
押し倒されている状態からなんとか起き上がろうと、鷹村の手を払おうとするが、鷹村がそれを許さない。
「それに、どっちにしたって鷹村さんが悪いんじゃないですかぁ!!冗談にして良い事と悪い事がありますよ!!」
「俺様だったら[バキューー(*´Д`*)ーーンッ!!]に顔突っ込まれたら嬉しくて涙が出るぞ!!!」
「殴りますよ!!!」
本当に殴りたさそうに両拳を握っている。
「ていうか鷹村さん・・・タオルでも腰に巻いて下さいよッ」
顔を赤くしながら横を向く。
「俺様の[ドキューー(*ЩЩ*)ーーンッ!!]が見れないっつーのかぁ!!」
「ブッ殺ッ!!!!!」
もがく。
「俺様にどいて欲しいと思うなら、『申し訳ありませんでしたご主人様ッこれからは粗相のないように致しますので』って言えッ」
プツンッ―――――
何かが切れる音がした。
「いい加減に・・・して下さい!!!」
鷹村の肩を掴み、鷹村の腹に片足をあて、自分の頭の方向に鷹村を巴投げする。
もろに腰に岩状の床が当たり、悶絶する鷹村。
「少しは頭冷やして下さい!!子供じゃないんですから!!!強く頬を叩いたのは謝りますけど、そうなった原因をもう一度考え直して下さい!
それまで口ききませんからね!!!」
フンッと鼻を鳴らしてその場を立ち去るの背中を、逆さの状態で見ることになってしまった鷹村。
「・・・・・・・・・・畜生ッの馬鹿野郎!覚えてろよぉ!!」
また、長い夜が続きそうだ。
続く
@あとがき@
あの・・・鷹村さんがちみっこじみてしまったことはあまり気にしないで下さい。うん。
しかも最期が、どっかのショッ●ーみたいになっちゃったのも気にしないでねッ
ちょっと放送禁止用語出過ぎたかな?;;;
私が書くと大体こんな感じになってしまいます;;;;;
申し訳ないッ